富士山といっても、世界遺産の富士山ではありせん。富士山牧央(ふじやままきお)ちゃんです。身長181cmの女子中学生です。そしてバレー部所属です。対する上場(かんば)くんは、身長160cmの男子です。幼なじみの2人です。付き合うようになったキッカケは、上場くんのダイナミックで命がけの覗きです。絶対にマネをしてはいけません。
体育館の用具室の中で富士山さんの背中のシップの匂いを嗅いだり、携帯電話を持っていない富士山さんとの連絡にノートの切れ端メモを投げ合ったり、学校の帰りに、近所の神社でこっそり会ったり、セミの抜け殻を制服の中に入れるイタズラを仕掛けてみたり、制服の下に着ていた水着にビックリしたり、どちらが神社の階段を早く昇れるか競争してみたりと、2人はとても楽しそうです。さらに男女混合でプール授業です。2人は目が合いまくりです。そして、乳首はどれもオンリーワンです。
夏休みのメインイベントは花火大会です。集合場所は富士山さんです。目立つから。でも、浴衣はサイズが合いません。デカイから。偶然にも2人で屋台を回ることができます。デートです。金魚すくいです。富士山さんは本気を出すために髪をくくってアップにします。上場くんは、うなじと胸元に釘付けです。さらに夜空に上がった花火が半ケツを照らし出します。目を見開いて凝視です。
花火大会の群衆にもまれるうちに、2人の手が触れ合います。勇気を持って富士山さんの手を握る上場くん。そして、ぎゅっと握り返す富士山さん。これぞ、思春期の遠い日の思い出です。
630円なり
by 華色平詩郎