女装というより異性装をキーワードに思春期の少年少女のお話も15巻目。遂に完結です。
モデル事務所に在籍する「よしの」さん。ずっと男の子になりたかったハズのに・・・最近はあまり思わなくなった自分を裏切り者だと感じてます。修一くんの彼女の「あんな」ちゃんもさりげなく覚悟を決めてます。将来は、女装おじさんとデートする変なおばさんでもいいだなんてなかなか言えません。バイト先の女の子に女装写真をブログに無断で載せられてしまう修一くん。コメントに骨格が男だとかかれてショックです。日々男ぽくなる修一くん。自分の記録をつけるために小説を書き始めます。おんなこになるという自分の夢と折り合いをつけるためです。様々な人の視点が混じった私小説風フィクションです。「よしの」さんは、駅の雑踏で修一くんをよく見つけるようになります。ようやく自分が修一くんのことを好きだと自覚します。修一くんは小説のために様々な人に取材です。大胆です。よしのさんにも読んで貰って感想を求めます。その場でよしのさん自分が修一くんのことを好きだと伝えます。修一くんの小説は徐々に出来上がっていきます。修一くんは自分を箱にたとえます。入れ物のとしての箱です。欲しいのは「ゆるされる箱」です。おんなのこの格好しても「うしろ指」をさされない箱。親にしかられない箱。学校で悪目立ちしない箱。やりすごせる箱。自分にはその箱は与えられなかったけど、友達にいわせれば「見栄えのする箱」なのだと。つまり自分は「恵まれた いびつな箱」であると。このくだりを読んだ彼女の「あんな」ちゃんは、泣いてしまいます。修一くんがもうすぐ死んでしまうような気がして・・・。
ひとりは男の子になりたかった女の子。ひとりは女の子になりたかった男の子。ひとりは男の子になるのをやめた。そしてもうひとりは女の人になりたいまま。ただそれだけの話はこれにて完結です。
651円なり
by 華色平詩郎